「closed square」小須田 望写真展 | 写真の専門学校 日本写真芸術専門学校

都市部の再開発によって新たにつくられた場所には、海外の様式を取り入れた、広場的な空間が設けられている。
海外と違うのは、広場を形づくる町並みや景観、そして人びとがそれぞれ独立した存在として見えるということである。
本来、広場は人びとが集まりコミュニケーションを取る場所であり、放射状に伸びた街路はどこを辿っても広場に行き着くようにつくられている。
人びとは広場へと向かい、集会をしたり、他者と交流する場として活用してきた。
わたしの見た広場では、人びとの関心はそこにはなく、そこから伸びている道の先にあって、人びとはその空間を通り過ぎるために使っている。
あるいは待ち合わせの場所や、食事をする場所としてあとから用意されたもののように思われる。
それぞれの時間コミュニティーの中で、偶然そこに居合わせた人びと。
他者との距離を無意識に保ちながらも、行き交う人びとが、広場の中で拡散されるわずかな時間、その光景を眺めていると広場と人は、完成された都市空間としてわたしの前に立ち現れる。

日本写真芸術専門学校に入学しようと思ったきっかけを教えて下さい?

私の「写真」との出会いは、小3のころ地元の千曲川の写真を撮りたくて、近くのホームセンターで当時3万円くらいしたコンパクトカメラを購入したところから始まります...が、思ったように撮れていなくて、すぐに飽きました。(笑) 高校時代は使い捨てカメラの全盛期で、学校のみんなが1台ずつ鞄にしまっていて、カメラとお弁当くらいしか入っていなかったと思います。みんな『自分撮り』で、何か行事があれば、おもしろおかしく撮影して、プリクラと一緒にコンタクトシートを手帳に貼っていましたね。 中学から高校に上がった時に受験が嫌になって、別にカメラマンになりたかった訳ではないのですが、高2の時にコンパクトデジカメ買って、なんとなく『あ、写真か...』と。 お母さんに相談したら「一度やってみて、諦めたら実家に帰ってくれば良いじゃない」と背中を押されて、入学しました。 学校説明会に参加したとき、フィールドワークゼミも気になりましたが、最終的には3年制のフォトアートゼミへ。2年制だと時間が足りないと思いました。他校の卒業作品展も観に行ったのですが、渋谷の学校が良いなって感じました。

在学中の思い出や心に残っている出来事はありますか?

フォトアートゼミの同級生たちが衝撃で(笑)。面白かったです。どちらかというと、2年制の学生の方が若く見えて。(歳は変わらないと思いますが)ワイワイ・パシャパシャしている感じでした。 課題も大変でしたし、写真集を観る授業もありましたが、当時は何もわからなかった・・・。
でも2年生になって、菊池先生と築地先生に写真を見てもらうようになって、前に進めるようになりました。2人の講師のバランスが私にはちょうど良かったと思います。

作品について教えて下さい。

- この作品はいつごろ撮影されていますか? - 専門学校の3年次から本格的にスタートしました。菊池先生は、始めた当初から面白いから続けて!って言われてましたし、違う作品を見せても『都市の写真は?って』言われまして(笑) 築地先生は、他の作品に対しても色々講評してもらったので、先ほども言った通り、作品的にも精神的にも良いバランスだなって。 最初は路線図を広げてJRのターミナル駅を片っ端から探して、行ってみました。1日乗車者数とかも調べて(笑)それが終わると、今度は商業施設を探して、しかも巨大なところ。地図上で白い空間の所ですよね。それでも行ってみると俯瞰で撮影出来なかったり、人がいなかったり・・・。でも、この作品は、被写体=風景の距離感が凄く心地良いんです。 なので、この心地よさを最大限引き出すために人の疎ら具合などは気を使いました。

Juna受賞の感想と作品展を開催して感じたことはありますか?

実は...これが3回目のチャレンジで、2度落選していたので、知らせを受けた時は半信半疑でした。でも一緒に頑張ってくれた彼氏はとても喜んでくれて。本当に最後のチャレンジの気持ちでしたから。 実際に個展が決まってからは先生にアドバイスをもらい、作品の見せ方やプリントなどとても勉強になりましたし、実際に展示してみて反省点も見つかりました。

これからの活動と目標について教えて下さい。

私の中では、早くこのシリーズをやめたい!!って思う時もあるけど、先生や周りの人たちが『続けても良いと思うよ』って言ってくれるので、ありかなぁ・・・・と。
他にもコンパクトカメラで写真を撮っているので、そっちをまとめたい気持ちもあります。
本当にどうしようか?凄く悩んでいます。

みなさんに伝えたいことはありますか?

自分が『面白い!!』って思ったモノを撮ったら良いと思います。周りでは『面白くない』って言われるかもしれないけど、自分を信じて。何かわかるかもしれないから、やめないでほしいです。展示の準備は大変でした。こんなに自分の写真と向き合ったのは初めて。人に見せる事は重要だと感じました。

- 初の個展で色々とお話をして頂きました。小須田さんありがとうございました。これからの作品も応援しています!
小須田さんの作品は、http://nozomikosuda.com でご覧頂けます。-

富士フィルムフォトサロン東京

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