トラ犬
「なんてこった・・・」
見つからなかった。
ブログや文章用の記録として撮っておいた、
北インドの写真データがどこかへ消えてしまったのだ。
そう、たった一日のどうでもいい記録を残して。
—それがトラ犬の話だ。
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タール砂漠のとある村へ滞在していた去年の夏である。
ある朝、砂と汗をシャワーで落とし
—暑いから、と外へ出してもらった簡易の- ベッドへ戻ると、
いつの間にか大きな犬にベッドを占領されていた。

「不意うち」というやつだ。
それがトラ犬との出会いだった。
一見怖く感じたが、ゴロゴロとしたネコ科(イヌ科?)の動きに惹かれ、
「大丈夫かも」と、隣に近づいた。
そして撫でてみると、意外なほどなつっこく、
体を返しながらじゃれてきた。

明らかにトラッキーよりかは可愛気があった。
そして何やら眠そうにしていたので、

(今思うと、確信的な面白半分だったけれど)
とりあえず布団を掛けてみた。

・・・

・・・そうして、落ちも無く、
話は本当にどうでも良くなるのだ。
ザンスカールの寺院に泊まり、何百杯のバター茶を飲み、
三回お腹を壊し三回熱を出し、
金をぼられそうになり、トイレを壊し、
斧を使った山羊の屠殺に気が遠のきそうになり、
音楽と蝿に包まれながらラージャスタンを彷徨い
「人生は真っすぐじゃないさ」と納得し合った
昨年の夏は、良い経験に、なってくれなきゃ困る。
ありがとうトラ犬。

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エンジンは次第にかかりつつある。

