お疲れさまです
「お疲れさまです」
「ご苦労さまです」
学校などで学生が私に会ったとき、
授業が終わり、学生が教室から出て行くとき、
メールの冒頭で、
挨拶代わりに、学生が私にこう言います。しかし、これは正しい言い方なのでしょうか。
そこで、その使い方が正しいのか間違いなのか、国立国語研究所に問い合わせてみました。
結論は、「間違い」でした。以下がその理由(概略)です。
場合により使い分けが必要ですが、この「お疲れさま」「ご苦労さま」という言葉は、もともと、目上の者(例えば年上、上司など)が目下の者(例えば年下、部下など)の労をねぎらって発する言葉です。ある特定の業界などでは慣例的に使われている場合もあるようですが、それはあくまでもその場のみで通用する言い方に過ぎません。「お疲れさまです」「ご苦労さまです」という言葉を目下の者が目上の者に言うのは、一般的には明らかに間違いであり、やはり修正すべきものでしょう。
学生さんが今後学校を卒業し社会に出ていった際、そこで間違った使い方をするのはその学生さんにとって決してプラスにはならないことですから、今のうちに注意してあげたほうがいいですね、とも言われました。
海外フィールドワーク中、北京のホテルでテレビを見ていると、NHKの言葉の使い方講座という番組が放映されていました。そのときのテーマが「お疲れさま」「ご苦労さま」でした。やはり、上と同じ趣旨の説明をしていました。NHKのアンケート調査によると、「お疲れさま」「ご苦労さま」と言われ違和感を覚える人は約7割もいるそうです。この番組を見て、「やっぱり」と思いました。おかしいと感じていたのが自分だけではなかったからです。このことは以前、習った覚えもありました。
では、朝、学校の廊下で学生が先生とすれ違う際、また、授業が終わり教室から出て行く際、学生の皆は何と言えばよいのでしょうか。
答えはとても簡単です。
朝~おはようございます
昼~こんにちは
夜~こんばんは
または、
言葉を発せずに、目礼します。また、一日に何度も会うような場合も、その都度「こんにちは」ではおかしいので、その場合も目礼するのが簡単で良いでしょう。
(ただし、礼儀の厳しい学校などでは、目礼したのかしなかったのかが分からない場合もあり、誤解を招かぬため、言葉で言う方を奨励しているところもあるとのことです。)
では、授業が終わり、教室を出て行くときは何と言えばよいのでしょうか。
これも簡単です。
「ありがとうございました」
「失礼します」
では、メールの冒頭には何と書けば良いのでしょうか?
「いつもお世話になっております」
と書く学生もいますが、これは概して商売関係や取引関係がある場合に使われることが多い言葉です。従い、学生が先生に出すメールの書き出しとしては、必ずしも適当とは言えません。
「学生と先生」の関係のように、商売や取引関係以外の場合は、どのような形で世話になっているのかを一言付け加えると良いということです。
例 ~「授業ではいつもお世話になっております」
こうすると何も書かないよりは分かりやすく、すっきりします。(ただし、学生は授業料を払って学校に来ているわけで、そうすると、そのお金で生活している先生こそが世話になっていると考えることもできるわけです。つまり、どのように考えるかで立場が変わり、それによって言い方が間違いとなってしまう可能性があります。そこまで考えるか考えないか、いずれにせよ難しい問題を含むため、そこにこだわる人は、冒頭にはこの言葉は書かないということだと思います。)
ちなみに、私が学校に出すメールの書き出しは、大体いつも「お世話になっております」です。私の場合は、お給料を学校からもらっていますので、商売や取引関係の範疇に含むことができ、間違いではありません。
では、最後にもう一つ。これもよく使う言葉です。
「どうも」という言い方、これはどうでしょうか?
これは挨拶など、ちょっとしたときに非常に便利に使えますが、時と場合によっては、相手にぞんざいな印象を与えてしまいます。日本語を母国語としない人にとってもこれは簡単で言いやすく便利な言葉ではありますが、伝統的な慣習に則った挨拶とは言えません。かえって摩擦を起こしてしまう場合もあり、注意が必要です。また、テレビ局などのメディア関連業界で働く人が「どうもです」という言い方をする場合がありますが、なぜそのような言い方をするようになってしまったのか不明とのこと。業界内でのみで通用する言い方で、外部の人間には奇異に響きます。コンビニなどで「1万円からお預かりします」というおかしな言い方と同じです。
以上、この半年間ずーっと気になり、言おう言おうと思っていたことでしたので、フィールドワークとはあまり関係ないことかも知れませんが、学生の皆が正しい言葉遣いをしてもらえたらと思い、これを書きました。
ということで、これを読んだ学生の皆は、お疲れさま!

